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スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』その2
[ 伝統 ]
初回同様、だんだん暗くなっていく場内で緞帳の色が不思議に変わっていくのを眺めつつ暗闇に”落ちて”行くような感覚・・・そして、物語が始まる。
最初に後姿を見せている兵士たちの人数に驚き、やはりスーパー歌舞伎の規模は尋常ではないのだな、と感じる。人々の両側に立つハナミズキのような白い樹に、満開の花が付いていて宮廷という特別な場所を感じさせる。次に目が向いたのが、帝の金田龍之介さん。お芝居の事は全くわからない私だが、特別な存在の方だ。とはいえ、正直なところ、声を出されるまでは「あれ、今日も猿弥さんなのかな?」と思ったほど見た目がそっくりで・・・猿弥さんがそれだけ上手く”老けて”いらしたということなのか・・・? 若く、すっきりした印象の段治郎さんタケル。元々この方の声が苦手なのだが、今日はところどころ、特にゆっくりと”きめる”ような台詞のところで心に染み入るような声音を出しておられた。 スピーディーな展開というのが本当に行われているな、と何度も感じた。宮殿が廻り、舞台のタケルが消えたと思ったら、花道から弟姫の声が聞こえ、一呼吸あって春猿さん弟姫の登場。花道を踏み外すのでは(失礼!)と心配になるほどの速さで、一瞬で駆け抜けて行かれる。言い古された表現だけれど、ぱっと花が咲いたような艶やかさ。 対する笑也さん姉姫がまた、落ち着いていてすてきなのだ。近くにいると、手先で妹を抑える仕草や潤んだ目を細める様子などひとつひとつが優し〜く見える。声と雰囲気で夫を抑えてしまえるなんて、兄姫は大碓やタケルより年上なのではないだろうか、なんて感じる(これは前回も思ったことだから役者さんの年数とは無関係なのだと思う)。 早替りに次ぐ早替りの連続、わかっていて、裏で準備をされている所を想像までできてしまうのに、替わった瞬間には「おお〜」と声を上げるのを止めることができないし、まわりから声や拍手が上がるのが嬉しくて仕方がない。よく、こんなに面白いことを考えてくれたものだと。歌舞伎の先人や猿之助さんが本当に大好きでたまらなくなるひとときだ。あのくるくる回る楽しさがずっと続くような気がするからこそ、小碓が大碓の首に剣を当ててしまった時、すっと背筋が凍りつくような思いがした。 ・・・・・・んであれって、本当に遺体を川に捨ててしまったんでしょうか・・・ 騒ぎに沸く熊襲館の始まりも、大好きな場面のひとつだ。クマソ兄弟が一人ずつ台詞を言うたびに衣装が持ち上げられ・・・歌舞伎の手法だということはわかっているのだけれど、”空威張り”しているようにも見えてくすっと笑ってしまったり、白い顔の兵士を探してみたり・・・とまだ余裕がある。この後、タケル化けた大和の踊り女が出てきた所からはもう、息が付けなくなるのだけれど。 Comment
はるき (2008/03/23 11:09 AM)
あやめさん、おはようございます。
兄媛はタケル兄弟より年上っぽいというの、すっごくわかります〜。落ち着いて、輪郭が大きいですよね。上村以和於先生もとてもほめておられましたね。逆にみやず姫は、前回よりも聡明な少女らしさが出ていて、紫の上を思いました。 私は、色々あってもう「タケル」には会えなくなってしまいましたが(今日も、本当なら演舞場にいる筈なのですが)、あやめさんをはじめとする、しっかりした鑑賞眼と熱いファン心を持つ方々の御報告を慰めに、今を乗り切っていこうと思います。 続きを楽しみにしています。 Trackback
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昨日、右近さんでもう一度観てきました。段治郎さんとはお芝居全体の雰囲気を変えるものがあったので、ぜひ書いておきたいと思います。気長に(笑)お待ち下さいませ。