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2014.07.25 Friday  | - | - | 

Radiogenicリーディング・スペクタクル『ミッシング・ピース』

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いつものことではありますが、「事実」と「感想」と「希望」の入り混じったものになっています。
また、例によって特に役者さんの名前が書いていないものは、春猿さんについての記述であること、ご承知置きください。
さらに。基礎情報・・・つまり出演者、ストーリーなどについては情報ページ、及び他の方のすばらしいブログをご覧になることをお勧めします。どうも、苦手なんですね・・・。
今回はなるべく筋を追った形で書いていますが、難しい。しかもこの感想は真夜中に、しかもポーランドの強いお酒が入った状態で書いたものでして、長いというか。。。(以下略)

服装
右近さん:正装、とでも表わしましょうか。白いシャツの襟を立てて、それからネクタイがないからかな、音楽家のイメージ。うん、かっこよかったポッ
春猿さん:ブルーのブラウス(右ボタン!?)にカーキの長いコート(トレンチコートって言うのかな?)、下も同色に、卵色の編み上げの靴、こげ茶の長めのスカーフ。中間部ではコートなしで、シャツも白の左ボタンのものに変えていらしたように思いますが・・・。照明の加減で、本当はずっと白だった!? わざと少し崩したような髪形で、少年のようなイメージ。
段治郎さん:黒尽くめ+真っ赤なメタリックの靴。ああ、びっくりしたぁ〜。夢の中ではそれに、黒のラメ入りマントを手で押さえていらっしゃいました。シャツの上はベストのようでも、ジャケットを羽織っているようでも・・・とにかく、黒だったのでよくわかりませんでした。
古藤さん:白いシャツに薄い色合いのジャケット。靴は見忘れました・・・。真っ白なTシャツと厚い胸板てれちゃうのイメージだったので、なんとなく新鮮でした。
天使ちゃん達:真っ白な、バレリーナのような衣装に白いスパッツ。頭飾りの白い羽、かぶり方が微妙に違ったのが気になりましたが・・・。かわいかった!

息もつかせない、緊張感がはじめから終わりまで解けることのない、本物のミステリー。
物語の世界へと聴衆を誘うのはやはり、古藤さん。これまでと違い役があり、そして衣装もジャケットと、不思議な感じでした。声は同じなのに、あのぎらぎらするような雰囲気は発していらっしゃらなかった。それでも、劇場の空気が一気に夢の中へと動いていく。

「初めてさくらを見た人の感動を、君は想像できるだろうか。」外国から来た客員教授としての右近さんの台詞に、まだ物語は始まったばかりなのに頭の先がしびれたような感じがする。石造りのヨーロッパとは違う、柔らかい世界、日本の象徴としての桜。その上、後ろのスクリーンに映し出された桜とその前に二本吊り下げられた透明な幕が重なると、堂々とした幹がそこにあるような不思議な演出でした。中心に立つ右近さんロネン・ヴァインフェルトがめちゃくちゃかっこいい、そして彼に重なるように全く同じ動線で、春猿さん瀧口周子が登場する。この形の美しさは、後ろの方の正面席を取れたから気付くことができました。『下町日和』の時とは髪形も違い少し崩してあるようで、少年、いや美少年かな、そんな印象。
周子の“周”も“ロネン”も“ぐるっと廻って元に戻ってくるサークル”の意味、運命の出会い。

とても唐突に、周子ヴァインフェルトを愛する。もちろん、唐突ではないのだろうけれど、彼女の愛はそんな風に感じられる。それが彼女を取り巻く二人の男たちが言う激しさ、なのだろうか。
この後から、「ロネン」と呼びかける春猿さんのことばがすばらしい。普通より激しいくらいに息を継いでいるのに、途切れないことばがヴァインフェルト“先生”をぐるぐる取り囲んでしまっているような、苦しいくらいの激しさ。

う〜ん、“ロネン”って何語だろう・・・。“ヴァインフェルト”はドイツ語っぽいけど、彼はフランス人だから・・・。それはともかく、二人は運命で結ばれている、そしてそれは転生の意味をも隠していた、のかな? そうそう、“ロネン”のアクセントは””にあるのですね。ああ、どうしてもロネンとは言えないな、ヴァインフェルトの方が言いやすい。ヒロイン周子の恋人と言うよりはやはり、音大の先生のイメージなのかな。

なんだかとても意外に感じる春猿さん超心理学者古藤さんのカラミ(もちろんことばの)は、けれど、物語の中でどこに位置するのかわからない。どこに位置しても良いような気がする。
そういえばこの物語は誰かの視点で進んでいるのだろうか? そういえばヴァインフェルトのはじめの台詞「初めて桜を見た人の・・・。」は長い、長い手紙の始まりのようにも思える。。。これはまた後で。

運命の方向転換役(と私は思う)、桧森龍也の登場は、客席中央の扉から。しかも、段治郎さんは前ブロックの中程で立ち止まり振り返るから、スピーカーで台詞が入るまで、前の方のお客さんは気付かないのだ。そして舞台に上り、一言も発さずに前半が終わる。いい体格をなさっているのだけれど、心なしか背を丸めていらっしゃるのが妖しい雰囲気を与える。土間から舞台を見上げた時、桧森周子は運命の視線を交わすのかな、と思ったけれどむしろ顔を背けているようだった。今考えたら、この時点ではまだ運命の出会いをしていないから、だろうか。本当に二人が“出会う”のは、桧森の部屋で周子が演奏をした時なのかもしれない。
右近さんの最後の台詞「危険人物です!」で組んでいた足を解き、大きな音を立てて床を踏みしめる。と同時に、赤い幕が落ちてくる。

舞台で観たのは初めてだけれど、『美貌の青空』と同じ手法だな、というのはわかる。そして耳には悲劇を予感させるような音楽が聴こえているのに、大きく動く幕を見ながらなぜか私は冷静だった。幕を握っているのは右左どちらの手かな、とか春猿さん右近さんは身長が違うのに動いている場所は同じだな、とか。そして、暗転の中退場される三人の順番とか。


後半の始まりも、宮本笑里さんの演奏から。劇中で「ジプシーのメロディー」と呼ばれるもの。う〜ん、好きだな〜、こういう曲。調は暗いのだけれど、何かが起こりそうで血が沸き立ってくる。
再び古藤さんの登場。今回、何度出ていらしても同じ台詞の繰り返し、ものすごく印象的なのだけれどちょっともったいない。古藤さんのことばと声に浸る幸せが少なかった気がして。

周子の新しい恋に場面が移る。春猿さん段治郎さんが並ぶ姿にああ、久しぶりだな、と思う。あ、リーディングでは、ですね。ただ、『下町日和』にはなかった、というだけなのだけれど。ここでも周子の唐突さに驚くばかり。はじめのイメージと全く違う。“変わった”のだな。あ、「ヴァイオリンちょっと貸して。」はあんまり、音楽家どうしでは出てこない台詞のような気がするけれど・・・どうでもいいですね。

周子桧森が出会い、同志になり、そして6日間が過ぎる。この間の背景がとても不思議で、美しい。スクリーンに映るのはワルシャワの街なのだけれど、空だけが昼間の青から夕焼け、そして夕暮れへと変化していくのだ。6日目の次の場面は既に、一年後。その間に、ヴァインフェルトによる謎解きが始まる。人名に隠された秘密とか、ありえないようなこんなミステリーが私は結構好きなのです。

このあたりは暗転が多すぎて、しかもその度に照明が演奏者に向くから細切れの感があった。あれ、でも今考えると、ヴァイオリニスト宮本笑里さん周子でもある。ということは、しつこいほどに流れていたあのテーマを、周子は時間のある限り弾き続けていたということなのかな? あと、『下町日和』の時に感じた段治郎さんの視線、演技ではなくて台詞を言う時の癖のようなものなのでしょうね。

ワルシャワで一年かかって、二人は隠されたメッセージの一部、“HIM”にたどり着く。
I love him. 周子が言う。
I kill him. 桧森が言う。
そして周子が I tell him.   このhimはつまり・・・
周子ロネンに手紙で別れを告げる、そしてロネンの返信。
ここが一番美しく、そして泣ける場面だったのではないだろうか。うまく思い出せないけれどオケがとても美しい音楽を奏でていて、笑里さんも合わせて身体を揺らしていたようだ。目を瞑って、二人の文字や声ではなく心を聴いているような気持ちだった。

この後、ペテルブルクに場面が移る前かな。ヴァイオリンのソロが入ったのだけれど、メロディーが賛美歌の『♪天つみ神を仰ぎ見て(う〜ん、歌詞が定かでない・・・)』に似ていたような気がしてならないのです。Wieniawskiに、賛美歌をモチーフにした曲があるのかな。ペテルブルクで見つけた新たなモチーフ、急に明るい調子に展開する。まるで二人の恋の喜びを表わしているような、気もする。

春猿さん、英語がきれいね。tellを「ティル」と発音していらしたのは気になったけど。

モスクワに移動、そしてまた一年。なんて壮大なんだ! 文書館を見つけ、資料を探す、慌てすぎるくらい興奮した周子や「ビンゴ!」と言い合う二人の様子が、唯一緊張から解放される瞬間。しかも、椅子から立ち上がり舞台の奥から光の道を一歩一歩進むのだが、肩を寄せ合い立つ姿の絵になること。あ、男性(段治郎さん)の方が背が高い、とくだらない意識をしてしまったりして。なにしろここから、一気にミステリーが加速するのだから。

桧森までもが運命の一部(もしかしたら軸かもね)であることがわかり、いよいよ夢の世界へ。上手の椅子に右近さんWieniawski、階段の下手側に春猿さんジプシーの少女が腰掛け、お二人を一直線に結んだちょうど真ん中に段治郎さんメック夫人。なんと段治郎さんが女性を演じる。配役を見た時には驚いたけれど、貴重だと思った。で、妖しくて怖くて美しいメック夫人は一番はっきりと、その姿をイメージできた。白髪をきちっと巻き上げて、黒に近い緑のドレスにこげ茶色の肩掛を羽織った細くて背の高い女性が浮かんできた。あの時代のパトロンとは違い、明らかに何かを邪魔するような、そんなキャラクター。

一人になり、振り向きざまに黒いマントを払いのけた瞬間、青年に戻っている。しかしこの夢は、桧森には重すぎたのだろう、自分は「誰なんだ」と叫ぶ声はマイクを通さずにも開場に響き渡った。

〜Intermission〜
暗転と、チューニング

パリの街、ヴァインフェルトから周子への、おそらく最後の手紙。そしてきっとこの手紙は、周子に読まれてはいない・・・もしかして、言葉ではなく音楽で伝えられたものなのかも。ここで天使たちが「長い手紙だったね。」と言うから、あれ、と思うのだ。この場面の長い長いモノローグを指しているのか、もしかして「初めて桜を・・・。」に始まるここまでの物語全てが手紙だったのか。
「世界がこんなにも美しく輝くのは、ひとりひとりの情熱の魂が照らしているから。」
社会に汚されていく、とヴァインフェルトは言うけれど、その社会を作っているのも情熱を持ったひとりひとり。世界って、捨てたものではないと思うけどな。リーディング・スペクタクルを通しての脚本家からのメッセージが、ここに凝縮されている気がした。それにしても右近さんがすてきだった・・・。声が柔らかく、優しい表情に目が光っていた。彼にとって45番目(だったっけ?)の夏が始まり、そして・・・彼は死んだ、らしい。なぜ?

同じパリに、周子桧森がたどり着いている。ここでもParisと桧森のアルファベット・数字を介した運命が明かされ、周子の傍を去る。たぶん、死を選んだのだと思う。虚空を掴んでそのまま後方へ倒れながらの退場、なぜか『ドン・ジョバンニ』の最後、騎士長に引き込まれるのと同じように見えた。この間、春猿さんはずっと座っている。段治郎さんの見せ場では、目をとじて俯いたまま動かない。かすかに影になっているのにものすごい存在感がある。

ふと、この姿は私にとっての周子のイメージと違うな、と思い始める。普通の音大生だった20代のはじめに運命の歯車が回り出し、その秘めていた情熱を表に出してきた女性。春猿さんの姿では大人っぽすぎる、もっと少女のような所があってもいいのではないか。考えながら、でもその悩みはすぐに晴れる。宮本笑里さんだ。彼女の姿のようなイメージ、かなり近い所まで来た。

双生児の天使の夢を見て、周子は「とてもいい匂いのする天使たち、ロネンから初めてミッシング・ピースのことを聞いたあの7月10日の空の匂い。あれからずいぶん遠くに来た気がする。」と呟く。目を瞑って座り込む姿が苦しそうだっただけに、さわやかな声に聞こえる。桧森の夢に出てきた天使たち、ここで”いい匂い”と聞いて、私はお花の匂いを想像した。けれど、そうではないのだね。う〜ん、ずっと入らなかった夏の屋根裏部屋の匂い、そんな空気を思い出す。

彼らに導かれ、リリック・アベニューの部屋を訪ねる周子。そして、この部屋でロネンの書いた最後のモチーフに出会い、演奏する。「ロネン、こんなにヴァイオリンを弾きたい気持ちになったのは久しぶり。」という台詞になんだかぎゅっと捉えられた感じだ。ミッシング・ピースというミステリーに魅せられ、謎解きと恋と運命の物語にばかり気を取られていたけれど、その始まりはヴァイオリンへの、音楽への愛情だったはずなのだから。完全には理解できないまま、それでもエンディングに突入する。

周子ロネン桧森の手を取り、両手を繋がせる。え、周子とではなく、この二人が双生児の天使だったの? と一瞬思う。いや、元々ひとつのものだった二人なのか? 役者さん達はどう理解して演じておられるのかな、と興味深い。天使たちが布を敷いた白い道に、桜の花びらが降り積もる(これ、本当に花びら型の紙でした)。白くて、落ちた瞬間になくなってしまうような不思議さ。でも、前の方の席では、舞台に当たるパタパタという音が聞こえていた。

大人は胸に手を当てて、子どもたちは手を繋いで静かに退場(天使たちの後に退場する段治郎さん古藤さんまでが手を繋ぎそうな気がして、なんだかおかしかった)。右近さんは変わらず、全霊を込めたようなお辞儀と美しい歩き姿。春猿さんは胸に当てた手に花びらが偶然留まっていた。

二度(楽は三度)のカーテンコールの間も、皆さんずっと役が入ったままだったのが印象的でした。

すごかったな〜、すごかった! 二度目にはストーリーも、謎も、次の演技もわかっているはずなのに、気が付くと息を止め、身を乗り出し、首をかしげ、服の裾を握り締めている。そして、帰り道にも「もし、あれがこうだったら・・・。」と考えている。本気の舞台ってこんなにも、、、心に何かを植えつけてしまうものなのだな。

最後におまけの?疑問点?
春猿さんの服装・・・気になります〜。
“HIM OR I”について周子と桧森の会話、一度目だけ「エッチ、アイ、エム」でそれいこうは「エイチ、アイ、エム」と違って聞こえたのですが、気のせいかな?
ウラディミール・オルロフさんは実在していました。20世紀初頭のチェリストだそう。かんけいないですよね?
ワルシャワの地図はドイツ語で書かれていたような?
弾き振りしていたのはどなた? 千住さんではないよね。

お分かりの方がいらしたら、コメントいただければ追記いたします。
2007.08.13 Monday 14:59 | comments(3) | trackbacks(1) | 
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2014.07.25 Friday 14:59 | - | - | 
ゆきの (2007/08/26 10:53 PM)
だいぶ時間がたってしまいましたが、お邪魔いたします。
あやめさんの記事はこと細やかで繊細で、今読んでも舞台が鮮やかに蘇ります。あやめさんの想いもとてもよくうかがえました。
私も2回観に行ったのですが、展開は分かっているのに、1回目はうるっときたのが、2回目に涙があふれてしまいました。「1回目の赤い布は春猿さんと右近さんが(あるいは段治郎さんが?)…」というのも、私も冷静にそう見てしまって、「う〜ん…」と思うところとかあったりするのですが、でも、舞台の創造がとても大きく目の前に迫るものでずっと見入ってしまいました。
カーテンコールは、ほんとに古藤さんと段治郎さんが手をつなぎそうでしたね〜!
私の、あまり良く理解していない記事ですが(龍也がメック夫人だったということがはっきりと分からなかったアホな私…)、TBさせてください。
またDVD出してほしいですね。
あやめ@管理人 (2007/08/18 9:55 PM)
はるきさま、こんばんは。コメントありがとうございます。

一つ一つを大切にしているように・・・感じてくださったのですか? せっかく出会った舞台を「楽しかった。」で終わらせたくない、何かを学びたい、そんな気持ちだけです。

短編をつなげた『優雅な秘密』や『美貌の青空』と違って、ひとつの物語だったからですかね、気が抜けませんでした。もちろん、役者さん達の心と気迫が並みのものではなかったのだとも思います。

生活費ね、確かに・・・。私は、音楽の勉強も気になりました。周子が達也に「将来を変えてまで追った夢」と言う場面があったので、達也はヴァイオリンで独り立ちする人生設計を変えてしまったわけで・・・。

もう一週間、そして、まだ一週間。
はるき (2007/08/15 10:29 PM)
こんばんは。私の方にもコメント、有難うございました。
あやめさんの御感想は、ひとつひとつの観劇をとても大切にしていらっしゃることが伝わってきます。
「ヴァイオリンちょっと貸して」は、確かに微妙でしたね;^^まあ、それだけ周子の気持ちが切迫していたということでしょうか?私としては、周子と龍也が生活費をどうやって工面していたのかもとても気になりますが、今まで拝見したリーディング・スペクタクルの中でも、劇的な展開と情念の表現という点では群を抜いていたと思いました。最後までほんっとに気が抜けなかった〜。
そして春猿さんは本当に綺麗だった…。









『ミッシング・ピース』…天使と悪魔と(その1)
{{{ Radiogenic リーディング・スペクタクル 第7弾 『ミッシング・ピース』 於:ル テアトル銀座 出演      市川右近/市川春猿/市川段治郎/古藤芳治 音楽監督    塩入俊哉 ヴァイオリン  宮本笑里 }}} ヴァイオリニスト 瀧口周子/市川春
| お茶でいっぷくmemo | 2007/08/26 10:54 PM |